ブルックリン 横田

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『ブルックリン』――3分の2までは傑作、3分の1はナンセンス    

                               横田 安正

アメリカの映画批評バカラシサ     
 アメリカにおける映画評がほぼ全面的にこの映画を支持しているのが信じられません。中には、「主人公の女性は最後NYを取るか故国アイルランドのエニスコーシーを取るか葛藤するが、結局NYを選択する。彼女は一回り成熟した女としてアメリカに戻るのだ」などと書いていますが、バカじゃないかと思います。 エイリッシュは故郷の町で大歓迎を受け、尊敬の的となり、仕事のオファーもあることに“うっとり”してしまいNYに残した旦那トニーが疎ましく思えただけです。トニーからの手紙を封も開けず机の中に放り込んでいます。ジミーと結婚すれば母親の面倒も見ることが出来、“全てが大バンザイ”です。ところが意地悪おばさんケリーにトニーとの結婚をばらされると「ああ、忘れてた。ここはこういう所なのね」とのたまう。

人間的成長があるというのか?  
 “アイルランドの田舎町では重婚は許されないが、大都市NYでは問題にならないのに”とでも思ったのでしょうか?ケリーの介入に激怒した彼女は「私の名はエイリッシュ・フィオレーロよ」と叫び、早急にアメリカに戻ることを決める。つまり、夢やぶれて憤怒しただけです。何処に人間的な成長があるのでしょうか?

明なメッセージ 
 監督が何を言いたかったのか僕には不明です。「ナイーヴな男たちよ、気をつけな、女とは常に実利を求め、道徳観などは歯牙にもかけないんだよ」というのでしょうか? それとも「貧しさのなかで育った女は、幸せのためには二股、三股をかけざるを得ない、その切実さを理解してね」というのでしょうか?(いずれも女にたいする”上から目線”ですね)

 僕の意見では、「ブルックリン」は頭から3分の2までは傑作、最後の3分の1はバカバカしいナンセンスです。


©2016 A. Yokota. All Rights Reserved. 17 Sept 2016.

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